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カレンダー特集 Vol1.アドアーツ 仲経晴様

2007/03/29

今回の女神インキカレンダーを作成するにあたり、デザインをしていただいたアドアーツ 仲 経晴様にお話をお伺いしました。

日頃はどのようなお仕事をしているのですか?

日頃から、ポスターやパッケージをはじめ、様々なデザイン印刷物を作成しています。特殊インキを使った印刷物は最近多いですね。

仲さんが制作されたもので主なものは?

最初に一番変わった事に挑戦した物と言えば、30年前ぐらいに観光協会のポスターを作る仕事で、函館の止まった時間をどのように表現するかに挑戦したことですね。雨が降ると水滴がガラスについて、その風景がゆがむじゃないですか。それをどうやってどうやって製版すればいんだろうと。今でこそMacが有れば、簡単にできるような処理ですけれど。

当時、ある方法を思いついたので印刷会社にその方法を無理矢理お願いして、色校を出してもらったんだけど、出てきた物があまりにどうしようもなくひどかった。そんな事をきっかけに「自分で勉強しなきゃ」と、いろいろ印刷の事を勉強したんですよね。

で、試行錯誤した結果何とか出来たので、お客さんへ持って行ったら「ゆがんで見えるから作り直して」と言われた。ゆがんだ物を作ったんだかから当然なんですけれど(笑)。翌日締め切りのコンテストに出す予定だったから、作り直している時間もなくそのまま応募させてもらった。そしたら運輸大臣賞を受賞したなんていう結末でしたけどね。

当時の印刷の限界に満足していなかったのですか?

結果から見れば、印刷手法に挑戦したような感じがあるけれど、別に従来の印刷に満足していなかったとかではないんです。どちらかと言えば、「自分が表現したいものが何なのか」という事が肝心なわけなんですね。今回の女神インキさんのカレンダーを作るのにも、偏光パールにあうものを探さなきゃということで、袋物を探してきた訳ですよ。

僕がやっていることを同業者のデザイナーが見たら変人と思うかもしれないけど、やっぱり物を創るからには特上のものを創りたいじゃないですか。でも、私みたいな拘り方は異常だとは思ってるけど。

こだわってよかった事は?

たとえばパッケージの提案時に、さわり心地や雰囲気を再現できるように実際のパッケージの模型みたいなものを作って持って行ったことがある。普通なら紙に書いた資料と構想を話すだけでおしまいでしょう。そのときは大手代理店などと競争だったのですが、その提案をその場で発注決めて貰ったんです。そうした拘りがあったからこそだとは思います。

なんでそこまで拘るのかといえば、世の中に流通している既製品なんて絶対にその人にあうなんてことはないじゃないですか。だから、デザインだってやりたいことをやろうとしたら全部自分で創った方がよいのではないかと考えています。

デザインの仕事をしている中で、どんなことを考えていますか?

基本的には、デザインはすべて独学なんだよね。教育大に行っていたんだけど、僕がいた分野は先生がいなかった。そんな環境の中でいろいろ試行錯誤してきたからこそ、普通とは違ったことがしたいのかもしれない。

デザイナーって、生活者にデザインを通して発信するのが仕事ですよね。そのためには、普通の生活者と同じ高さでものを発信しても届かないんだよね。だからこそ、これは誰に対してどのような伝え方をするのかはしっかり考えてます。

マーケティングでいろいろ分析したところで、本当に売れる商品ができない事が多い。小ロット多品種の時代に少しでもパッケージが目立たなきゃ手に取ってすらもらえないわけでしょう。

デザイナーをわかりやすく言うならば、僕はシェフだと思っている。インキはインキ屋さんが作り、紙も製紙会社が作っているわけで、それをうまく調理して見せるのがデザイナーの仕事なんです。

あとは、何に対しても不思議だと思う事が大切だと思う。

カレンダーを作る事になったきっかけは?

去年2月ぐらい女神インキさんが、すごい汚い刷り見本を持ってきたんだよね(笑)。これはまずいんじゃないかと。だから、まずは刷り見本を創ることになった。

今回カレンダーに使ったインキは、この3つ折りの刷り見本を作りながら、いろいろ一緒に試してもらって出来たインキなんですよ。他のメーカーに一度頼んだ事があったんだけど、できなかったんだよね。

では、カレンダーを作る上で考えたことは?

女神インキは日本よりは海外でよく知られたインキ屋さんなんですよ。

だから、まず海外で受ける絵柄を探さなきゃと思ったんです。それに、偏光パールを使うんだから、もちろん光っている部分と光っていない部分がないとだめだと。というわけで、江戸時代の袋物を選んだんですよね。

単刀直入に外国で受ける物を作りたいんだったら、外国の有名な絵を使えばいいんですけどね。他には、日本のお城シリーズとかそういう普通のデザインでもよかったんだけど、女神インキさんには普通の会社になってほしくないという思いを込めてます。それに、今回使ったような袋物の写真とかだと、普通の会社じゃなかなかOKをしてくれないから。

あとは、日本ってもっと海外に誇れるものが多いはずなのに、最近はそれらが消えている感じが個人的にしているんです。「だから外国に誇れるものをやりたい」という気持ちもありました。

今回のカレンダーのポイントは?

偏光パールを先に塗った上で、その上に4色の印刷をしたことですね。

実は、偏光パールの上に印刷しても色が出ないことは事前に分かっていたんです。でも、先に下地として偏光パールを塗って、その上に印刷をすれば、上に塗ったインキの間から微かでも光がはじけ返って、光って見えると思ったんです。単純に印刷の上に後刷りで偏光パールを使ったのとは違った見え方ができると。その効果を出してみたかったんです。

普通のインキだと無理だったんだろうけど、女神インキさんの偏光パールと4色プロセスインキの組み合わせだったからこそ出来たんだろうと思います。

また、偏光パールを全面に塗って、その上に4色の印刷をするなんて事は印刷会社も初めての挑戦でしたよね。

最後に一言

やったことない、時間がない、お金がない という仕事には「ないが3つ」ある。これらがそろっている仕事ほどおもしろいんですよ。そういう意味では、このカレンダーを作る仕事はすごくおもしろかったですよ。あっ、お金は女神インキさんが十分用意していただいてましたけど(笑)。まだまだいろいろなアイディアがあるので、また挑戦したいですね。

あと、皆さんにはこのカレンダーの印刷を見て終わりじゃなくて、その横にある説明もしっかり読んでほしいと思ってます。

取材協力
株式会社アドアーツ Web : http://www.adarts.jp/
〒 102-0082 東京都千代田区一番町9-23 一番町ビル5F
tel. 03-5275-3001
お問い合わせ 女神インキ工業 営業部
〒116-0002 東京都荒川区荒川1-33-5
tel. 03-3803-6161

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